Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
「聖壇」は元岩山であった。その岩山の頂きを非常な努力で平地とし、そこへ神殿を建てたものであって、今も尚周囲は岩畳みであった。自然と人工との合一したもの、それがこの「聖壇」なのである。その「聖壇」の中央に壮麗を極わめた建物があったが、内に安置された本尊は孔雀明王だということである。しかし内陣は薄暗く、それに不断に香の煙りが立って、あらゆる物象を遮っているので、拝することは出来なかった。ただわずかに見えるものと云えば、真鍮色の器具調度と、祭壇に敷かれた錦の布と、絶えずあちこち動き廻わっている数人の巫女の姿ぐらいであった。この建物の左手に、一基の石像が立っていた。台石の高さ一丈に余り、その上に立っている像の大きさは四丈を遥かに凌いでいる。役ノ行者のお姿である。頭巾を冠り行衣を着、高足駄を穿き錫杖を突き、その足下に前鬼後鬼の二人の山神を跪かせている。しかるに多くの信者達は、この立派な石像を目して「役ノ行者ではあるけれど、同時に光明優婆塞でもある」と、こう挙って云うのであった。
三
それと云うのも石像の顔が、光明優婆塞と酷似だからである。実際それを行者と云うには、余りにその顔は悲しそうであった。