Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme

Aozora Bunko

「ハイ、胸に白髯を垂れ、身に葛の衣裳を着け、自然木の杖を突きましたところの、異相の老人にございます」

「で、姓名は何んと云った?」

「常陸塚原の爺だと、このように申しましてございます」

「おおそうか、それはそれは、珍らしい人物が参ったものだ。すぐに通せ、叮嚀にな」

「では殿にはご存じで?」

「京師室町将軍家の館で、一再ならずお目にかかった仁だ」

「は、何人でございましょうか?」

「誰でもよい、早く通せ」

「かしこまりましてございます」

近習犬丸は座を辷った。

しばらくあって襖が開くと、老人が姿を現わした。

「おお卜伝か、よく参ったな」

「謙信公にはご健勝、恭悦至極に存じます」

「もっと進め、遠慮はいらぬ」

「愚老遠慮は大嫌い、ハイハイもっと進みますとも」

二人は膝を突き合せた。

越後春日山の城中である。主人は不識庵上杉謙信、客は剣聖塚原卜伝、ピッタリ顔を合わせてしまった。

しばらく二人は何んにも云わない。ただ眼と眼で笑い合っていた。

「爺」

と謙信は突然云った。

「ハイハイ何でございますな」

「俺はよい物を手に入れたよ」

「お前様のことだ名刀ででもあろうよ。小豆長光の名刀かな」