Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme

Aozora Bunko

そこでは「祭礼」が催されていた。

ゆるゆる流れている船の左右、狭い高い岩壁に、高山植物や富士植物が、爛漫と花咲いているのであった。一所岩が飛び出していた。一面に苔が生えていた。そこにあたかも雪のように、純白の花を開いているのは、富士植物の踊子卯木で、卯木の花は散っていた。微風がソヨソヨと戦ぐからであろう。富士薊の紫の花が、花冠を低く水へ垂れ、姿鏡を写していた。燃え立つような草牡丹は、柳蒲公英の黄金色の花と、肩を並べて咲いていた。そうして小さい一匹の羽虫が、雌蕊を分けて飛び出した。と、花粉が空へ舞い、砂金のように四散した。

細い触角を顫わせながら、しばらく羽虫は宙を舞ったが、ちょうど小船を導くように、水路を先の方へ飛んで行った。その水路が曲った所に、石楠花の花が咲いていた。小狸蘭の薄紫の花、車百合の斑点のある花、蟹蝙蝠草の桃色の花、そうして栂桜の淡紅色の花は、羊歯や岩蘭と雑り合い、虹のように花咲いていた。

水中には魚の家族達が、鬼ごっこをして遊んでいた。今、一つの背の赤い魚が、群を離れてつと進んだ。とたんに水藻の花が揺れた。と、その蔭から顔を覗かせたのは、母指ほどの山椒魚であった。