Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
……いや実際世間には、恐ろしい奴がいるものだ。お前一人なら切られたろう。俺がいたから助かったのだ」
「あの掛け声は極意かな?」
「極意というようなものではない。剣の極意なんてつまらないものだ。ただカーッと叫んだまでだ。敵の心を反らせたに過ぎない。禅の一喝と思えばいい」
「ははあ剣禅一致だな」
「うむまずそういったところだろう。だが本当はそう云ってはいけない。剣も禅も何もない。ただカーッと掛けたまでさ」
「面白いな、気に入った」
二人はズンズン歩いて行った。
畔宿を通り南池を過ぎ、二人はようやく甲府へはいった。
鍛冶屋街道住吉の外れ、往来に茫然立っているのは、他ならぬ三合目陶器師であった。
彼はホーッと溜息をした。
「浮世は広い。偉い奴がいる。カーッと掛けられたあの気合い、雷に打たれたようだった。あいついったい何者だろう? 一見ヨボヨボの爺だったのに。……ああまだ耳に残っている」
抜き身をソロソロと鞘へ納めた。
「光明優婆塞と今の爺、斬れなかったのは二人だけだ」
彼はノロノロと歩き出した。
「あいつらも甲府へ行ったらしい。……甲府へ行くのが恐ろしくなった。……だが素敵な楽しみだとも云える。