Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme

Aozora Bunko

行き逢う人間行き逢う人間、満足な者とてはないのだからな。さわったが最後体が破壊れる。『さわるなの病気』と云うのだからな。どうにもこれじゃあ手が付けられない。薬師如来でも匙を投げよう。ましていわんや我輩においては、袖手傍観するばかりだ。だが火柱の主に逢い、そいつをとっくりと調べたら、うまい発明が出来るかも知れない。意地の悪いものさ今夜に限って、霊験著な火柱大明神、ご出現遊ばさぬということだからな。どこに隠れていることやら? ……おいおい卜伝、もうよかろう。そろそろ御輿を上げようではないか」

卜伝は返辞をしなかった。

蔵人は皮肉な微笑をした。足で焚火を踏み消した。

「アッハハハこれでいい。火がなければ見ることは出来ぬ。そこで御輿をヨイと上げの、ご出立というところさ」

卜伝の囁く声がした。

「蔵人蔵人、動いてはいけない」

押し付けたような声であった。

ギョッとして蔵人は棒立ちになった。そこから探るように訊き返した。

「え、卜伝、どうしたのだ?」

「うん、出たのだ、例の奴が。鍛冶屋街道の一件物が」

「ううむ」と蔵人は呻き声を上げた。

文目も知れぬ闇であった。人影などは見えなかった。