Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
かえって月子には幸いであった。
彼女は懸命に面を彫んだ。
出来上った面は壁へ懸けた。
五十面、百面、百五十面、二百面近くの面が出来た。
長い長い昔から、今日までかかって彫んだものであった。
気に入ったものは一つもなかった。
どれもこれも駄目であった。
満足することは出来なかった。
「聖徳太子様、淡海公、弘法大師様の作られたような『神作』のようなものは出来ないものかしら? 日光、弥勒夜叉、福原文蔵、石川竜右衛門、赤鶴重政、日氷忠宗、越智吉舟、小牛清光、徳若忠政、こういう人達の作られたような、『十作』のようなものは出来ないものかしら?」
彼女は時々絶望的になった。
だが絶望はしなかった。
絶望することは出来なかった。
絶望することが出来たなら、どんなに彼女は嬉しかったろう。
宿命にはどうしても歯向かえなかった。
彼女は「絶望」を禁じられていた。
彫まなければならなかった。
今日も明日も明後日も! 「極重悪人の新面」を、彫み上げるまでは永遠に、彫まなければならないのであった。
だが彼女は何者であろう?
どういう身分の女だろう?
何故宿命を背負ってるのだろう?