Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
どちらからお先に致しましょう?」
「はい、どうぞ、妾から」園女は一足進み出た。
「ではこっちへ」
と月子は云った。それから錦の帳を開けた。
「園!」
と源之丞は呼び止めた。「もう一度顔を見せてくれ。一旦手術をしたからには、二度と見ることは出来ないだろう。お前の顔の見納めだ」
「そうして妾にとりましても」
二人はじっと向かい合った。龕の灯がチラチラと瞬いた。二人の半面が照らされた。
「心の悲哀が顔へ出て、今でもお前は悲しそうだ。一層悲しくなるがいい。だがお前は美しい。美しい顔へ悲哀が纏い、二重の美しさとなっている。それが私には煩悩の種だ」
「妾もそうなのでございます」園女の声は咽ぶようであった。
「あなたのお顔を見ていますと、妾には悩みが湧いて来ます。お心にある悔恨が、お顔へ現われているからでしょう。あなたはお美しゅうございます。悔恨がお顔に刻まれていて、いよいよ美しく思われます」
「こっちへお出でなさいませ」隣室から月子の呼ぶ声がした。
「はい」と園女は帳をかかげた。そうして隣室へはいって行った。
源之丞は岩壁へ背をもたせた。
「ああ永い間苦しんだなあ」彼は瞑目して考えた。