Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme

Aozora Bunko

……最も不吉は羅綱声! ではこの声に致しましょう。……薬をお飲みなさいまし」

器物へ水薬でも注ぐらしい、トコトコという音がした。

「怯とはいったい何んだろう? 勇とはいったい何んだろう?」

源之丞は呟いた。「怯勇無差別ではないだろうか? 勇を揮って功を現わし、高禄を得て世を渡る。なるほど男子の本懐だろう。だが臆病に逃げ廻わり、短い一生を好きな女と、日蔭の花として暮らすのも、人間らしくていいではないか。……勇を現わすということは、表面立って生活す手段に過ぎない。だが余り表面立つと、その生活し方が窮屈になる。それは偶像にされるからだ」

月子の声が聞こえて来た。

「これで全然出来ました。昔の面影はございません。誰に逢っても大丈夫です。感付くものはありますまい。……おおおお何んと悲しそうな、貧しいお顔になったことか。孤貧の涙相でございます」

カタンと何か取り上げたらしい。

「鏡をご覧なさいまし」

五

「俺は疑いなく臆病者だ。いつも恐怖に襲われている」源之丞はフラフラと立ち上がった。しかし岩壁からは離れなかった。

「だが権利は持っている。この世に活きる権利はな。そうしてあからさまに云う時は、肩身を狭め、日の目を恐れ、土鼠のように活きることに、俺は興味さえ持っている。