Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
主水も側へ坐った。永い夏の日も暮れたと見えて夕陽が名残りなく消えてしまった。林は闇に包まれた。二人はじっと坐っている。
その時眼前の藪地から灯火の光が射して来た。だんだんこっちへ近寄って来る。と、一人の老人が藪を分けて現われた。白髪、白衣、跣足、赧ら顔。……両手で灯火を捧げながら、二人の男女の前を通り反対の側の藪地の中へしずしずとして入って行った。ほんのわずかの間をおいて一列に並んだ男女の群が、老人の後を追うようにして老人の隠れた藪地の方へこれもそろそろと歩いて行く。彼らの顔は白布で隙間もなく包まれているのみならず、彼らの手も足も同じように白布で包まれている。
彼らの列は足音も立てずやがて藪地へ消えてしまった。
間もなく彼らの立ち去った方から読経の合唱が聞こえて来た。
夜は沈々と更けまさり林の中はざわめいた。夜風が梢を渡ったのである。
「何んという不思議な所だろう? 彼らはいったい何者だろう?」
思わず主水は呟いた。
「可哀そうな病人でございます。癩病、脱疽、労咳、膈、到底癒る見込みのない病人達でございます」これが松虫の返辞であった。
「それにしてもこのような林の中で、しかもこのような闇の夜に何をしているのでございましょう?」