Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme

Aozora Bunko

だがその代り命ある限り、人に恋されはしますまい。そのお顔がその顔であるうちはね。……」

園女の泣き声は尚続いた。岩窟の壁へ懸けられた、非情の能面さえ耳を澄まし、聴き入るような声であった。寂しい絶望した声であった。

「ああ園が泣いている」源之丞はじっと耳を澄ました。

「造顔手術が終えたそうな。変面異相、穢くなったろう。……よいではないか、穢くなっても。浮世には二つよい事はない。……さあ今度は俺の番だ」

月子の声が聞こえて来た。

「少しお眠りなさいまし。眠りながらお泣きなさいまし。涙が磨きをかけましょう。……お飲みなさいまし、眠剤をね。……お顔へ覆面を掛けましょう」

後はひっそりと静かであった。

だんだん泣き声が幽かになり、やがて寝息が聞こえて来た。

「源之丞様」と呼ぶ声がした。「こちらへおいでなさいませ」

で源之丞は帳を掲げ、辷るように隣室へはいって行った。

と帳が蜒をつくり、龕の灯がそこだけ暗くなった。

と、月子の声がした。

「寝台へお伏せりなさいまし。あなたの奥様と並んでね。……お顔を上へ……真っ直ぐに……」

寝台の軋る音がした。

とまた月子の声がした。