Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
嗄れた声が囁いている。何を云っているのか解らない。しかし彼は気持ち悪かった。で手を上げて追い払おうとした。だがその手は動かなかった。
「俺は祝福に来た筈だ。何故みんなは逃げたのだろう? ……ああ五月蠅いな、何故囁くのだ!」
カサ、カサ、カサと嗄れた声が、やっぱり耳もとで聞こえている。
「誰かこいつを追っ払ってくれ! このお喋舌りの老人を!」叫んだ意りではあったけれど、口から出たのは唸り声だけで、それもほんの一声であった。
「俺はひどく弱ったようだが、病気をしているのではあるまいか?」
奔馬性癩患だということさえ、今の彼には解らなかった。
「俺はいったい誰なんだろう?」驚くべき疑問が湧いて来た。と突然雪が見えた。降りしきっている雪である。つづいて赤いものが見えて来た。ヒラヒラヒラヒラと動いている。それはまさしく篝火であった。その横に一人の武士がいた。まだ若い甲冑武士で、何か不平そうに呟いていた。見覚えのある顔であった。
「ああ我が君だ、晴信君だ!」はっきりそれが思い出された。
雪に蔽われた城が見え、そこへ寄せて行く人数が見えた。と、一つの肉豊かの、坊主首級が現われた。