Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme
善悪不二。まことにさようだ」
この時、陶器師は眼をあけた。
「この物騒な富士の裾野を、お見受けすれば一人旅、どちらへおいでなされるな?」
「さよう、本栖の湖へ……」
「なに本栖の湖へ? ふうむ、そうして何んのご用で?」
「人を尋ねて参るのでござる」
「人を尋ねて? なるほどな。……何人をお尋ねなされるな?」
「父母と叔父を」と庄三郎は隠そうともせず打ち明けた。
「それはご無用になさるがよい」
「それはまた何故でござるかな?」
「本栖の湖は魔界でござる」
「それは疾より承知でござる」
「恐ろしい水城がござるのじゃ」
「その水城へ参るのでござるよ」庄三郎は平然と云った。
「水城へ参る? 殺されにかな?」
「いやいや父と逢うために」
「さようなお方はおりませぬ」
「おるかおらぬか確かめにともかくも参る考えでござる」
「仮面の城主がおるばかりじゃ」陶器師は云い切ったが、
「武道の嗜みござるかな?」
「さよう、いささか」
と云ったとたん、陶器師は立ち上がった、立った時にはもうその手に皓々たる白刃が握られていた。忽然起こる不思議な笑い! はっと飛び退った庄三郎。抜き合わせる間もなかったが、バッチリ柄頭で受け止めた。