Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme

Aozora Bunko

「いよいよお別れでございますかな」

主水も云って立ち止まった。

「ご無事においでなさりませ」

松虫も云って立ち止まった。

「昨夜以来のご歓待なんとお礼を申してよいやら」改めて庄三郎は礼を云う。

「一樹の蔭一河の流れ、袖振り合うも他生の縁とやら、何んのお礼に及びましょうぞ」

こう云って松虫は微笑したが、その微笑は寂しそうであった。荒野に生い立ったこの娘は誰をでも懐しく思うのであろう。

「貴殿は武田方拙者は上杉。敵味方と別れてはいても今はお互いに放浪の身の上。同じ屋敷に一夜明かし、様々物語り致しましたこと、よい思い出となりましょう」主水はこう云って微笑したがやはり寂しい微笑であった。「拙者は柔弱。武道は未熟。わけても病気の身の上でござれば、いつ死ぬやら計られず。今日別れていつ逢うやら心細くも思われまする。……ただ一夜の語いながら文武に勝れたご貴殿が兄のようにも懐しく思われるのでござりまするよ」

「拙者とても同じ事」庄三郎もしんみりと、「お二人の厚いお志、永久忘れは致しませぬ。昨日の昼頃、陶器師という恐ろしい賊に遭遇いあらかた胸を冷しましたが、打って代って夜になってからは、人の情けをいやしみじみと感じましてござりますよ」