Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Lesen Sie 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 188.242 Zeichen · 380 Bildschirme

Aozora Bunko

甚太郎はパッと転がった、切っ先届かず五分残ったのは甚太郎にとっては天祐でもあろうか、引く太刀に連れて飛び上り二の太刀を避けて横へ飛んだ。

熔岩の上へ突っ立ったのである。

「浮雲え! 馬鹿!」とこの時初めて甚太郎は憎さ気に罵ったが、さすがに呼吸は苦しそうである。しかし黐棹は握っていた。余裕のあった証拠である。熔岩の背後は絶壁である。前からは武士が追い逼って来る。黐棹を槍に構えたものの進退谷まったと云わなければならない。

武士は白歯を覗かせてニッとばかりに笑ったが左右なく上っても行かないのは黐棹の先が渦巻き渦巻き両眼の間を迂乱つくからで、心中窃かに驚いている。

「これは学んだ槍ではない。自己流の業には相違ないが、それにしても恐ろしい奴だ。槍先が眼から離れようとはしない……武田の家来には変な奴がいる。土屋といいこいつと云い、不思議に武道の達人ばかりだ。エイ!」

と一つ気合を掛け、パッと槍先を刎ね上げた。それからタッタッと追い上った。

「来やアがれ!」と云うと甚太郎、黐棹をしごいて突き出した。それが右眼へ矢のように飛ぶ。またポンと払い上げる。と、しごいて左眼へ来る。