Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme
「千代松、――長谷倉先生をお願いして来てくれ、早く、早く」
主人が声を掛けると、手代の千代松は土間から外へ、毬のように転げながら飛出します。
「親分、入ってみましょうか」
見兼ねて、ガラッ八は平次の肘を突きました。
「待ちな、もう少し見た方がいい、――まだ宵のうちだ。二本差がどんな威張ったって、嫌がる女を、引っ担いで行くわけにも行くまいじゃないか、落着いて見物するがいい」
平次は、野次馬の後ろから背伸びをしてこんな事を言うのです。
「でも、親分」
「気が揉めるのかい、――あの娘は綺麗すぎるから、いろいろ紛糾が起るんだよ。あの顔を見たとたんに、俺は三千両の行方が解るような気がしたよ」
「江島屋へ嫁にやるのを邪魔する奴があるんでしょう」
「シッ――お立会いの衆が顔を見るじゃないか、なんて野暮な声を出すんだ」
二人はそれっきり口を噤みましたが、中の争いは、深刻に、執拗に続きます。
「来た来た、長谷倉先生が来たぜ、もう大丈夫だろう」
動揺めく野次馬。それを掻きわけて静かに入って来たのは、四十前後の立派な浪人者でした。
「御免よ、――娘を連れて行きたいが、仔細はあるまいな」