Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme
「昨日は石を抱かされたとよ、三度も目を廻して、腰から下が寒天のように砕かれても、口を割らないそうだ、女の剛情なのは怖いぜ」
そんな話が、口から口へと、野火のように拡がって行きます。
それから二日目。
「銭形の親分にお目に掛って申上げたいことがございます」
妙におどおどした五十男が、平次の家へそっと訪ねて来ました。
「お待ちしていました、さア、どうぞ」
平次は飛んで出ると、宵闇の中に、襤褸切れのように佇む中老人を引入れました。
「親分、私の申すことは、あまり変っているので、びっくりなさるかも知れませんが、決して嘘や偽りは申しません――」
薄い膝においた手が顫えて、上半身の骨張った逞しさも、なんとなく不釣合な貧しい感じを与えます。
「私は何もかも知っているつもりですよ。勘兵衛師匠、みんな打明けて下さい」
「えッ、私の名を御存じで?」
「知らなくてどうしましょう。お前さんは江戸彫物の名人と言われた、初代一刀斎勘兵衛師匠さ。五年前人に頼まれて、切支丹の像に紛らわしい物を彫ったばかりに、表向き遠島になるはずのところを、お上の御慈悲で江戸お構いになり、それっきり行方知れずになった方だ」