Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme
「…………」
「それはともかく、倅は幾度も幾度も又六にかけ合って、普賢菩薩を取戻そうとしましたが、又六は私が内々江戸へ帰っていることも、倅の代作をしていることも知って、なかなか素直に言う事を聞きません。一度などは、倅を捕まえて――お前にこの普賢菩薩ほどの物が彫れたら、望みの通り返してやる、宝冠だけでも、首だけでもいいからこの場で彫ってみろ――と、檜材と鑿を突きつけたこともあるそうでございます。そう言われると一言もありません。倅は親の私を庇わなければならないうえ生れ付き腕が鈍くて、台座の蓮華一つろくなものが彫れなかったのでございます」
「…………」
「腕は鈍いが、倅は父親の私の彫った物は大事にしてくれました。とうとう我慢が出来なくなって、小舟で浜町川岸から向う両国に渡り、手桶に隅田川の水をくみ込んで、嫁の手引で小屋に忍び込み、せめても下品な彩色だけでも洗い落そうとしました。一度二度ならずそんな事をやってみたそうですが、いつも妨げられて逃げ帰ったのでございます」
「ちょうど上げ汐時に出かけるから、仏体を洗いかけた水には、いつでも塩気があった」
「親分は、そんな事まで御存じだったのですか」