Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(六)結納の行方
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme
八五郎は息を弾ませながら、鼻の上の汗を平手で撫で上げました。
「何だと?――今の世の中にそんな馬鹿なことがあるものか。もっとも、由比の正雪なら牛込榎町よ、丸橋忠弥は本郷弓町だ、縄張違いだよ、八」
平次はまだこんな洒落を言っているのです。
「そんな昔話じゃねえ、謀叛人が生きていて、町内の銭湯で毎日銭形の親分と顔を合せるとしたら、どんなもんで」
「いやな事を言やがる、その謀叛人はいったいどこの誰なんだ」
「金沢町の素読の師匠皆川半之丞」
「何だと」
平次は起き直りました。
一年ばかり前に引っ越して来た、浪人者皆川半之丞、美男で、人柄で、まだ三十そこそこの若さを、何をするでもなく、世捨人のように暮しているのが、銭形平次の第六感に、何かの印象を留めずにはいなかったのです。
「ね、親分、そう聞くと思い当るでしょう。子供は嫌いだからといって、寺子は皆んな断ってしまった癖に、夜は大の男を四五人も集めて“子曰く”の素読の稽古だ」
「…………」
「それは不思議でないにしても、弟子は一人残らず他所の者で、町内の若い者が束脩を持って頼みに行くと、家が狭いとか、隙がないとか、何とかかとか言って追っ払われる」