Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(六)結納の行方

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(六)結納の行方 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.597 Zeichen · 289 Bildschirme

Aozora Bunko

父親は大店の若旦那と思わせておくのが、幇間の左孝には、せめてもの慈悲なのです。

そのお駒が玉の輿に乗りかけている矢先、白旗直八はフト左孝の身の上を嗅ぎつけて、お駒を脅迫し、金にも智恵にも余る難題を持出したのでした。今晩も、鬼になったのを幸い目隠しを外してお駒を隣の部屋に引摺り込み、刀まで抜いて難題を吹掛けるのを見ると、お駒にも知らさずに、父親らしい慈悲の眼を離さずにいる左孝は、その後を追って部屋に入り、直八がお駒を抱え込む隙に、そこに置いた抜刀を取って、後ろから刺し、息の絶えるのを見ると、何とはなしに下手人を誤魔化すつもりで、ふたたび死体に目隠しをさせ、自分も少しぐらい怪我をして、諸人の疑いの目を免れるつもりで、一と思いに庭へ飛降りたのでした。

「運悪く庭石の上へ落ちて、こんな大怪我をしたのも天罰でございましょう、――三輪の親分さん、白旗直八を殺したのはこの左孝に違いございません。娘を助けてやって下さいまし、お願いでございます」

次第に弱る気力を励まして、左孝は両手を犇と合せました。死の色の濃くなり行く頬には、必死の涙の跡さえ、糸のように引いているのです。