후리가나로 읽는 일본 고전
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
吉川 英治의 三国志(一)(さんごくし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 309,839자 · 622화면
そして、その中の一名を、眼で招いて、
「めったにお越しのない将軍のお訪ね下すったことだ。貂蝉にもこれへ来て、ちょっと、ごあいさつをするがよいといえ」
と、小声でいいつけた。
「はい」
侍女は、退がって行った。間もなく、室の外に、楚々たる気はいがして、侍立の女子が、帳をあげた。客の呂布は、杯をおいて、誰がはいって来るかと、眸を向けていた。
鬟の侍女ふたりに左右から扶けられて、歩々、牡丹の大輪が、かすかな風をも怖がるように、それへはいって来た麗人がある。
楽女貂蝉であった。
「……いらっしゃいませ」
貂蝉は、客のほうへ、わずかに眼を向けて、優かにあいさつした。雲鬢重たげに、呂布の眼を羞恥らいながら、王允の蔭へ、隠れてしまいたそうにすり寄っている。
「……?」
呂布は、恍惚とながめていた。
王允は、自分の前の杯を、貂蝉にもたせて云った。
「おまえの名誉にもなる。将軍へ杯をさしあげて、おながれをいただくがよい」
貂蝉は、うなずいて、呂布のまえへ進みかけたが、ちらと、彼の視線に会うと、眼もとに、まばゆげな紅をたたえ、遠くからそっと、真白な繊手へ、翡翠の杯をのせて、聞きとれないほどな小声でいった。