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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

三十一

額から、耳から、頤の辺から、まるで氷柱を植えたよう。

かかる中にも自若として冷静の態度を保ち、ことさらには耳を傾けて雨を聞こうともしないのは彼等士官の一群である。

ややあって人々はあたかも軍人のごとく静まった。

「障子をあけると、突然火の粉でしょう。」いう声も沈むばかり、雨はいよいよ盛である。

三十一

「お夏さんが一番しっかりして、そのまま、内裏様に手をお懸けなすったが、愛吉、鶏をって一声。聞棄てにして私あ二階から飛び下りて、二ツ三ツ人の体に打附かったとばかし覚えています。ええ夢中でね、駆けつけたのは裏口にあるその軍鶏の塒なんですよ。

何を悟ったのか、ケケッケケッ、羽ばたきをしてる奴を引掴んで両手で袖の下へ抱え込むと、雨戸が一枚ばったり内へ煽ったんですが、赫として顔が熱かったのも道理、見る間に裏返しに倒れ込むとめらめらと燃えてましょう。戸外は限もない狐火のようにちらちらちらちら炎だらけ。はッと後退りに飛ぶ拍子に慌ててつんのめって、仰向けに倒れたやつでさ。もう天井から紅い舌を吐いてるじゃアありませんか。目が眩んだ足の処へ、箱だか、鉄瓶だか重いものが斜違に来て乗っかるという騒。