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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

四

と紋床も好事なり、ばりかんを持ったままで仕事の最中。

「成程、」といって金之助も故とらしく振返った。

愛は極悪げに、

「親方沢山だ、何も身振までするこたアありません。」と愛くるしい件の口許で、べそを掻くような(へ)の字形。

「私にゃ素直だから可愛いんですがね。どうだこう改って言われちゃあ余り見ッとも好いこッちゃあるめえ、ちっと気をつけるが可いぜ、え、愛的。」

「可いやさ、罷違えばという覚があるから世の中を何とも思わんだろう、中々可い腕があるんだっていうじゃあないか。片腕ッていう処だが、紋床の役介者は親方の両腕だ、身に染みて遣りゃ余所行の天窓を頼まれるッて言っていたものがあるよ、どうだい。」

「へ、……どういたして、こうなると私あ極が悪い、」と面を背けて、たじたじになった罪の無さ。

「ここらで発起をするこッた、また三晩ばかしあけたというじゃあないか。あのここな、」というのがちと仮声になりかけたので、この場合吃驚し、紋床は声を呑んでくすりと笑う。

「ですがね親方、今度ばかりゃ、」と愛吉は屹と真面目。

四

「どうした。」

「ええ、何ね、少し面白くねえ、馬鹿に癪なことがあって、腹が立って、私あ腹が立ってならねえんで、」