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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页
三十四
手を合せてただ拝む程とちってるのに、袂のさきを口に啣えてお夏さんは悠々とお雛様を片附けていらしったってね、皆来い、お夏が死ぬ、お雛様だけ出しておくれと、お二人が一生懸命。
それですもの。
こういいますと、お夏さんが我儘三昧、親御は甘いばっかりに聞えましょう、けれども因縁事なんですよ、だって勝山のものといったら、池に浮してあった材木まで焼けッちまいましたから。業の火とかいうんですな、恐しいじゃアありませんか。
それでね、一度その埋地で家中が寄ったが最後で、あとはもうちりちりばらばら。」
三十四
「雛は皆助かりましたし、飾の道具といったような物も、目立ったのは大抵出たんだそうですが、珠だの、珊瑚だので飾った、天人が胸に掛けてるようなびらびらの下った女雛の冠ですが、無くなって、それから房のついた御簾のかかってる結構な、一品で五十両、先刻も申しましたね、格別私なんぞも覚えている御所車がそれッきりになったんですって、いつまで経っても、お夏さんが太く気にしていますがね、もとより金目にかかわったことじゃありません、あの姉さんのことですから、へい。
大方何でしょう、人並はずれて雛を大事がんなさるんでも分ります、そこらの様子でも知れますが、こう謂っちゃあ何ですけれども、お雛様をまず恋しい方のようにでも思ってるんじゃアあります