轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちからもち

力餅

島崎 藤村

「力餅」研究社、1940(昭和15)年11月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 65,974 字 · 130 页

青空文庫

そこで出かけました。

石山から鳥居川村までは八町ほどです。たずねて行ってみますと、ささやかな店座敷にはうわさにきいた鎌の類がならべてあります。土間のところにはふいごなどの道具が置いてあります。暑い日ではありましたが、古びたじゅばん一枚で裏口の木戸のほうから出て来た六十歳あまりの隠居さんがありました。この人が来助老人でした。この世の雨や風にもまれて来たようなその額つきを見たばかりでも、ただの鍛冶屋の隠居さんでないことがわかります。

老人はわたしのような年のちがったものをもよろこんで迎えてくれ、いろいろな話をしてくれました。刀剣のことを書いた本などをも出して見せてくれました。その中には古刀と新刀の歴史が図でわかるように説き明かしてありましたが、それぞれの流儀のちがいと言いますか、図にあらわれた焼き刃の模様がちょうど海の岸に寄せてはかえる潮の花の紋のように見えました。焼き刃の模様ほど刀鍛冶の気質をよくあらわすものもありません。あるものはすなおに、あるものはするどく、あるものは花やかにというふうに。

その時、こんな話も出ました。刀というものは五百年も六百年もの間に名高い刀鍛冶が出て鍛え方をきわめつくしてありますから、いくら後の代のものが工夫をこらしたつもりでも、どこかで昔の人にぶつかります。