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かいじんとしょうねんたんてい
怪人と少年探偵
江戸川 乱歩
「こども家の光」家の光協会、1960(昭和35)年9月~1961(昭和36)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 36,648 字 · 74 页
ふしぎな変装
階段を二つのぼると、そこは時計や宝石の売り場でした。
人形は、宝石のちん列だなにかぶせてある、白いきれをまくると、ポケットから、合鍵をとりだして、あついガラスの戸をあけました。
そして、ちん列だなの中へ、手を入れて、ダイヤのゆびわや、真珠の首かざりなどを、手あたりしだいに、つかみとると、それをみんな、自分のワイシャツの中の、腹巻きに、しまいこんでしまいました。
この人形は、宝石どろぼうだったのです。どろぼうが人形にばけて、洋服売り場に立っていて、夜のふけるのをまって、仕事を始めたのです。
たくさんの宝石をぬすんでしまうと、人形は階段をおりて、洋服売り場にかえり、なにくわぬ顔で、もとの場所に、立ちました。もう目のふたを、しめたとみえて、絵の具で書いた人形の目です。顔も、手も、からだも、どこから見ても、人形です。まるでかかしのように、シャンと立って身うごきもしません。
ふしぎな変装
あくる日の朝になりました。デパートの店員たちが、売り場へやってきました。そして、ちん列台の白いきれを、とりのけたり、そのへんの、そうじをしたりしました。
あのどろぼう人形は、もとの場所に、なにくわぬ顔で、立っています。