轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1931(昭和6)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,213 字 · 325 页
「何しろ、捕えた男が、稀代な変物で、それに根気を摺り減らしました。一体、彼奴は、ほんとの唖聾でございましょうか、それとも偽者でございましょうか」
「それや、立派な、ほんものじゃよ」
「では、女の素性に就いては」
「まだ、どうとも、断言ができんが、下手人には充分に余裕があった。死骸から端緒を求めようとするのは徒労じゃな」
「髪油の薔薇香は」
「ちょっと、面白いな。だが舶載の化粧油が江戸にないとは言いきれん」
「短刀は」
「それも、下手人の周密な用意、出来心でない証拠だ、痴情の殺人と申すのは違っとる」
「左様でしょうか」
「下手人は両刀を帯びた侍、なんで、そんな短刀を選ぶ必要があろう。後日の鑑定を紛わすからくりさ」
「そのために、故意に、突き刺したまま、抜かずにおいたものでござりましょうか」
「いや、突かれた時は、声をあげぬが、抜く時には、悲鳴を発しるものだ」
「怖しいほど細心な曲者とみえまする」
「なにせい、殺した現場をつきとめる事に急ぎなさい。悪くすると、この下手人の大胆さでは、後の証拠まで、きれいに掃除してしまうじゃろう」
「さ。そこでござります、神の如きご眼力で、何とかこの迷霧のうちから一活路を見出すご思案を仰げないものでござりましょうか」