轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

「キング」大日本雄辯會講談社、1931(昭和6)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,213 字 · 325 页

青空文庫

うしろから、跫音がした。

不安な焦燥をもった老先生の姿である。

「おう、辰じゃないか、何しに来た」

そう言いながらも、死骸をのぞいて、ほっと安心したように、

「あ。花世じゃなかったか……」

と、呟いた。

舟辰は、すぐに、

「老先生、たいへんです。すぐに、来ておくんなさい」

と、手を引っ張った。

「どこへ」

「深川まで」

「深川へ。……まあ落着いて話せ。どうしたんじゃ」

「ゆうべ、この千吉の妹のやつが、殺されたんです。いつぞやお話し申し上げた、柳橋から雛妓に出ていたお半という美い娘です」

「なに、お半が殺された!」

と、老先生は、さながら、自分の子でも失ったように愕然として――

「あれほどわしが、固く、注意しておいたのに」

「……へい、どうも、何とも面目のねえことで」

と、お半の兄の千吉は、取り返しのつかない悲嘆と悔いに、顔を曇らせながら、

「あっしの妹のお半のことについて、先日、くわしく身の上ばなしを申し上げたところ、ことに依ると、お前の妹は、人に殺される惧れがあるから、気をつけいと、老先生が仰っしゃって下さいました。……それを、あっしゃ、実は肚ン中で、嗤っていたんです。