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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

(おどろきの変った形として)そのような精神の浄らかな命は、いつの間にやら失われて、通俗作家以下のものになっているのね。今は云わば愧しいなんていうのは自分の心があからむだけのことみたいなところがあるから、ひどいことになってゆくのでしょう。自分に向ってしらばっくれてしまえば、万事OKであるわけです。

お年玉のこと、呉々もありがとう、たのしみにしておいで。そういう響のなかに何とたのしさがこもっていることでしょう。たのしみにしておいで。たのしみにしているわ。

この頃私はいい絵が部屋に欲しくてたまりません。今あるのは、松山さんの近来の傑作と柳瀬さんのホラあの水屋のスケッチ。どうもこちらのボリュームをうけてくれるに足りず。写真でいいからいいのが欲しくてたまりません。そして、もしかしたら林町の古いビクターをかりて来るかもしれません。絵は欲しいことね、私は仕事の間にタバコすわず、お菓子つままず、余り方正でさりとてトランプのひとり並べはいやですし、やっぱり絵なんか見たいわ。丸善のけちな画集すこし買おうかしら、それもいいわ、ねえ、あなたのお年玉の一つとして。雪解けの音はすきです、荷風はうまくかいています、「雪解」