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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页
「ですが先生、下司は下司で、この羽織を着た窮屈さッたらありませんでしたぜ、私あ思いますが、この上に袴でも穿いた日にゃ、たって獄舎の苦みでさ。」
「それでもよくお前ごまかしたな。」
「先方じゃあ思もつかなかったからでしょう、あのお夏さんに、こんな友達があると思った日にゃ、狒々に人間の情婦が出来るとあきらめなけりゃなりません、へい、希代なもんです。」とまた煽る。
「沢山おあがり、どうだね。」
「済みません、どうも五千疋御散財をかけました上に御羽織を拝借、その上御馳走でございます。ほんとうに先生は、金主と作者と、衣裳方と、振つけと、御見物とかねて下さるんだ、本雨の立廻りか、せめてのことに疵でもつけるんでなくっちゃあ御贔屓効がねえんですが、山が小せえんだね、愛宕の石段を上るほどもないんですからね、」
「だって、ちょいとでも煽がせて来たら可いだろう、仕返しはそれだけで十分さ、私も勝山というその婦の様子を聞いてさぞ心外だったろうと思ったから。一体風のよくない御公家でな、しみったれに取りたがる評判の対手だから、ついお前の話に乗ってお茶番を仕組んで上げたようなものの、これが道理から言って見なさい、師匠と親は無理な者と思えと、世間じゃあいうんだよ。