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さんまいつづき

三枚続

泉 鏡花

「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页

青空文庫

二十八

」

二十八

「深川へ参りましてね、母親が訳を謂って話をしますと、堅気の商人だ、遊人なんぞ対手にして口を利けるんじゃあないけれども、伝か、可し、鯰ならば仔細はないと、さらりと埒は明いたんです。

私はこんなやくざものの事ですから、母親も別に話さないでいたのがその時知れまして、そうか、そんな倅があるのか、床屋が家業と聞きゃちょうど可い、奉公人も大勢居るこッた、遊びながら働きに寄越すが可いと、深切におっしゃって下すったので、二度目にはお礼かたがた、母親について伺いますと、先生、吃驚しましたぜ。

中庭でもってきゃっきゃっという騒ぎ、女中衆が三四人、池の周囲を駆けてるんで、鬼ごッこがはじまってるか、深川だって呑気なもんだと、ひょいと見るとどうです、縁側に腰をかけてたのは山の井の診察所で見た、別嬪だろうじゃありませんか。

そうして女中が遁げるのを追懸けますのは、恐しい、犬でも蹴そうな軍鶏なんで。

今でも柳屋に飼ってあります。強いことッたら御用の小僧なんか背後からはたかれて、ぎゃっといって、打っ坐りまさ。

心持が可うございますぜ、とさかを立ってずっと伸して、眼をくるりと遣りますとね、私とでも取組みそうでさ。