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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

彼を待つもの「キング 第二十六巻第四号」1950(昭和25)年4月1日、はるかなる青春「キング 第二十六巻第五号」1950(昭和25)年5月1日、〔欠題〕「キング 第二十六巻第六号」1950(昭和25)年6月1日、兄の立場「キング 第二十六巻第七号」1950(昭和25)年7月1日、ある少女の役割「キング 第二十六巻第八号」1950(昭和25)年8月1日、父の孤独「キング 第二十六巻第九号」1950(昭和25)年9月1日、愛と死と生の戯れ「キング 第二十六巻第十号」1950(昭和25)年10月1日、運命に逆うもの「キング 第二十六巻第十一号」1950(昭和25)年11月1日、変転の外に「キング 第二十六巻第十二号」1950(昭和25)年12月1日、この日あるがために「キング 第二十七巻第一号」1951(昭和26)年1月1日、二つの未来図「キング 第二十七巻第二号」1951(昭和26)年2月1日、希望の羽ばたき「キング 第二十七巻第三号」1951(昭和26)年3月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 138,262 字 · 276 页

青空文庫

職工は総員三十五名、三分の一が女であつた。

さて、京野等志の着任以来、工場は、徐々に面目を変えて行つた。殊に、厚生という面で、着々、不備な点が整えられ、そのために、経費のかゝりすぎることもあつたが、それは、能率の増進と、大口注文の倍加によつてカヴァーされた。京野等志の評判は、しかし、一部のものの間を除いて、あまり芳しくなかつた。なぜなら、すぐに、急進的な分子の警戒心をあおる結果になつたからである。「あいつ、油断がならんぞ」という考が、そここゝで囁かれた。

京野等志は、自分の仕事と真剣に取り組み、甘い理想主義者という名を光栄として身に受け、ぐんぐん、よしと信じることを断行した。

社長の陣内をはじめ、父の恵之を含む重役連は、それで利益が十分にあがる間は、黙つてみているつもりか、給与の改善を提案する時以外は、たいてい、ふんふんと彼の言うことを聞いていた。

彼は、工場の実権をほとんど握つたつもりになつた。彼の頭は、仕事でいつぱいであつた。

それでも、日曜だけは、勤めを休むことにしていた。終日、参考書を読みふけることもあり、たまに妹二人を誘つて映画をみに行くこともあつた。