轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちからもち
力餅
島崎 藤村
「力餅」研究社、1940(昭和15)年11月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 65,974 字 · 130 页
八 小湊へ
ところが、どうでしょう、わたしの投げてみた小石は、一つは川の手前に落ち、一つは川の中に落ちて、自分ながらどうしていいかわからなかったこともありましたよ。
鹿野山は上総と房州の両国にまたがっている山です。わたしの越した峠はその山つづきで、峠の上に一軒屋のあるようなところでした。通る人もまれでした。わたしはそれより以前に伊賀と近江のさみしい国境を歩いて越したこともありますが、鹿野山の峠道はもっとさみしいところでした。
八 小湊へ
房州の小湊に近い村に住む農家の若い主人が、このわたしを誕生寺のほうへ案内しようと言ってくれました。
その若い主人は、以前にわたしがお世話になった吉村さんの家へ奉公に来ていた娘のにいさんにあたる人です。いったい、その時分には、房州へんの農家の娘は東京へ出て奉公したものでなければ、およめにもらい手がないと言われたくらいで、一般にそういう気風でしたから、同じ村から来て吉村さんの家につとめた娘は二人もありました。そんなわずかな縁故をたどって、土地不案内なわたしが小湊のほうのことを尋ねに立ち寄りましたところ、つい引きとめられたのがその若い主人の家です。