轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ろうごくのはなよめ

牢獄の花嫁

吉川 英治

「キング」大日本雄辯會講談社、1931(昭和6)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,213 字 · 325 页

青空文庫

血まみれ舟

血まみれ舟

「あっ、いけない!」

玉枝は、飛びあがって、

「たいへんだ。わたしたちは、いつのまにか、誰かに、尾けられていたにちがいない。はやく舟を、引っ返しておしまい!」

と、手を振った。

新七も、何かは知らないが、うろうろして、櫓をつかんだ。同時に、唖男は、ひと声、ヘンな絶叫を発しながら、ザブーンと、身を躍らして、海のなかへ、飛び込んでしまった。

「ちぇッ、しまった」

――新七は、唇を噛んだ。

――見ると、彼方の洲の先から、矢よりもはやく近づいて来る一艘がある。

まさしく、どこからか尾けて来て、自分たちの行動を、見ていたものと思われる。舟のうえには、屈強なふたりの船頭と、ひとりの町人が乗って、櫓も折れるほど、ギッギと漕いで来た。

「ええ、だめだよ! 新七ッ、舟が廻ってばかりいるじゃないか」

玉枝は、やっきとなって、自分も、棹をつかんでついてみたが、それの届くような、浅瀬ではなかった。

掏摸は本職らしいが、もとより、舟にかけては素人に違いない別府の新七。いそげば急ぐほど、櫓がはずれる、舟がまわる。

そのまに、見事な舟脚で、サッと、水を切って来た一方の小舟は、いきなり、対手舟の胴なかへ、その舳をぶつけるがはやいか、