轻松读懂日语经典作品
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1931(昭和6)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,213 字 · 325 页
「え、お出かけですか」
「む。日和もよいしな……」
「どちらへ」
「あてもないが、戸外でも歩いたら、またよい智慧も出ようというものだ」
梯子段を下りかけると、茶菓子の盆と土瓶を持って、上がって来た舟辰が、
「あ。老先生、今、お茶を入れて参りましたが」
「出先じゃ。帰ってから馳走になろう」
「では、手前がお供をいたしましょう」
「きょうは、よい」
「よかアありません」
「よいと申すに」
「いいえ、独りじゃ物騒です。あっしでいけねえなら、加山さんを連れておいでなさい」
「耀蔵はまだ、体の回復が充分でない。きょうは、独りで行くよ。心配せんでもいい」
「そんなことを言ったって、心配しずにゃいられません。老先生は平気のようだが、家の女房や若い者まで、どんなに、案じているかわかりません。――恐ろしい悪党の仲間が、夜となく昼となく老先生のお命を狙っているんだ。この頃は、野良犬みたいに、家の裏口から覗いたり、夜半に、真っ黒な人間が、物干しに屈みこんでいることも、幾度だか知れませんぜ」
「それやあしかたがないよ。わしの方から、挑戦したんじゃ。昔の塙隼人に返って十手をつかみ、あくまで闘うという宣言をしたからには、悪党どもも自衛上、わしを殺そうとするのは当りまえじゃ。