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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

うちで、油や米のほかに酒があったこともあるのでしょうか。

ベリンスキーの文芸評論、一八四六年にこれだけ「現代」に近づいているということは、いろいろのことを考えさせます。この著者の精神に近づいて来ていてまだその語彙とはなっていなかった幾つかのこと、それによって彼がもう一層現実的に実現を見られるものがあることも興味あります。では、と、一寸くらべて見たい本も出来ますが、ここには何もないし、私の頭の中に本棚、特に年表部は整備されていないから、いろいろ考えながらふろを燃き、一寸座敷へ上ってこれを書き。一人というのは面白いところもありますね、こんな工合で。一層愉しい光景を考えれば、今ここに出ている籐椅子に腰かけている人があってね、こんな話をみんな私が片手に火掻きをもったまま、ぬれた雨上りの庭に立ったまま出来るという場合でしょう。

○お母さんたちやっと達ちゃんに会えておかえりです。よかったこと。手術はごく順調に行って、一週間めですが、もう糸をぬくばかり。二三日うちにはすこし歩いてもいいようになるとのことで、一室に二人、看護婦もよく世話していて、すこしやせたか位の大元気だそうです。