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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

08 一九四一年(昭和十六年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页

青空文庫

七月二十七日

七月二十八日

なかなかよく降ります。きょうは珍しい顔ぶれで多賀子と冨美子をつれて達ちゃんに会いに来ました。達ちゃんは却ってこの間うちより神経の休まった顔つきをしていて、盲腸もごく早くとれて、もうすこしは歩けかけて居りました。背中をすっかり拭いてやりました。呉々も御安心下さいとのことです、自分でおっつけ書くでしょうが。今己斐の駅のベンチよ。

七月二十八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 山口県島田より(広島・紙屋町電車通附近(一)、大本営(二)、饒津神社(三)の写真絵はがき)〕

(一)七月二十八日、きょうから友ちゃんが三十一日迄広島へ泊って来ます、病院のうちならば会えるというので。きのう三人で広島へ行ったとき、河本という小さな宿屋へ、おむつや着がえのボストンバッグをあずけて来てやりました。お母さん、やはりおつかれが出ましてね、昨日は工合よくない御気分でしたそうです。きょうは私がすっかりしてお母さんは休んで居られ、すっかりようなったと云っていらっしゃいます。二三日は余りお動きにならないようにします。

(二)七月二十八日。お母さんのお疲れは脚と胃にこたえた風です、きょうは本当に見たところも大丈夫ですから御心配なく。