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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
08 一九四一年(昭和十六年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 230,599 字 · 458 页
そのとき私は心づきませんでした。これからの場合のため、よく覚えておきましょう。たしかにたっぷりした感じということもその著者の身についたものであるべきなのですから。ブックメイカアでない限り、ね。
私としては、仕事総体について見て下すって、その上で一冊一冊の本について云われているという感じがはっきりわかっていると、その一冊についてどんな突込んだ批評もまごつかないでわかるのです。どっちが地だかというような表現は悲しいのね。そんなわけのものではないと思えるから。そんなわけではあり得ないから用語の逆説的なつかいかた、どうしてもその路をとらなければならない場合の、前後の周密さということについて特別注意ぶかくなくてはならないということがわかるのね。二十九日のお手紙では、その点もよくこまかに語られていてありがとう。
大陸性その他のこともわかります。大陸文学というものの本質についての考察の一側面的な要素としてあのことも云われ得るのですが、あの文章は、その側面にだけふれているから、あれだけとして不完全なわけであると思えます。
中公の本のこと。著者も困るところがあるということを客観的な事情として念頭において、しかし本人としては可能な限りの正しさでありたいのね。