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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1900(明治33)年8月9日~9月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,572 字 · 124 页
ちらりと姿が見えたが勝負で、私あ目を瞑って、江戸児だ、お前さん何の用だ、と言いました。
すると莞爾笑ったから凄うございまさ。少し俯向いてこう胸の処に袖を重ねていた、それをね、両方へ開いたでしょう。
突然、大蛇の天頭でも顕れるかと思うと、そうじゃアありません。これを預けたさに、と小さな声で謂いましたね。青い襦袢の中から、細い手を差延べたから、何か知らんが大変だ、幽霊の押着ものなんざ恐しい、突退けようと向うへ突出したこの手ッ首の細い処へ、」
愛吉は指の環で左の手首を握りながら、
「一本きらきらする銀の簪、脚を割って突さすように挟んだんです。確に、可うござんすか。確に、という口の下、ぐいぐいとその簪の脚が緊りましてね、ここが不思議ですよ、その痛いことと謂ったら。思わずキャッというと、愛吉さん愛吉さんと呼びますわ、次の室で二人の声がするから、気が着きますと、私は床の上へ坐り直って、現にもお嬢さん、こうやって左の手ッ首を圧えていたんです。
恐しいことには、夜があけても何だか脈処が冷たいようで、ずきずき痛みましたから堪りません。
打明けては言いませんでしたけれども、二晩続けて私が魘されたのを聞いたんで、婦人二人はもう厭だとかぶりを振ります。