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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
と多門は舌打ちをして伜の顔をながめて、
「仏事のあとは、きまって桑門の方々を招じてオトキを差上げるのが日本古来の習慣じゃよ」
「何か御用か」
と老僧が笑いながら一馬にたずねた。この老僧は戦争前まで大学で印度哲学史を講じていた日本著名な仏教学者で、この村の出身だった。戦争中から村の禅寺へひっこんでいるが、見たところは、ただ老僧というだけで、学者らしくもない貧相な年寄であった。
「いえ、御食事中ですから、又、明朝おうかがい致します」
広間へくると、もう食堂の用意ができて、一同一馬を待っている。
食卓につくと、内海が語りだした。
「僕は今日、棺桶の帰り車にのっけて来てもらったけど、車をひいた百姓が妙なことを言ってたよ。僕アお歴々の中に殺人犯人がいるものだと思っていたけど、そうじゃないらしいんだってさ。村の疎開者に復員の気違いみたいな文学青年だか政治青年だか、いてね。王仁みたいなエロ作家は殺さなけりゃ日本のガンだというテロリストなんだそうだ。ふところに短刀をのんでいて、それを村の人にみせて、これで王仁を殺すんだと言っていたそうだ。この先生は珠緒さんが又大のキライで、ああいう女が日本を亡すとか何とか言っていたそうだ。