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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

ピカ一は猛牛の怪力で小六をふりとばした。あやかさんは殺気をさとると、身をひるがえして逃げだした。食堂へとびこみ、食堂から庭の方へ逃げだした。

ピカ一はすでに追っていた。

私たちが追いつくことができたとき、庭の松の木に押しつけられ、あやかさんは散々ぶたれ、突きまわされて、息も絶え絶えの所であった。

私たちが鈴なりに武者ぶりついてぶらさがって、ようやく引き分けたが、どうやら十間ほども引き分け、あやかさんも婦人連にまもられて去りかけ、ピカ一もフウフウ一とまず牛の息をまとめているから、もう終りと油断したのがしくじり、急に矢の如く追いだした。

それをさとると、あやかさんは、これ又、矢の如く逃げだした。まったく、あやかさんは、身軽な人で、スラリと細い身体だが、魚のように一直線をひいて行く見事な速さがあるのであった。

あやかさんは出てきた食堂から逆に屋内へとびこんだ。私たちは後を追ったが、追いついた時にはあやかさんは自分の寝室へとびこんで内側から鍵をかけており、ピカ一は階段を駈け登るときツマズイたのが失敗で、若干距離ができたのである。

ピカ一は狂気の如く、あやかさんの寝室の扉を蹴とばしている。