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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

私たちが追いつくと、

「この野郎ども」

私たちを追いまくり、

「畜生め。ズベタめ。出てくると、殺してやるぞ。しめ殺してやる。しめあげてやる」

ピカ一は自分のシャツの襟をつかんで、自分のノドをグリグリしめ廻したが、散々パラ扉を蹴とばしたあげく、ごろんと扉の前へひっくり返って大の字にのびた。

そういうことが一時間ちかくつづいたろう。私たちがちかづくと、起きあがって、とびかかってくる。ケダモノのごとくに吠えて、飛びかかる。

私たちは諦めて、それぞれ自分の寝室へはいった。

ピカ一は十分か二十分おきに起き上って、あやかさんの寝室の扉を蹴とばすのがきこえるが、あとは大の字にひっくりかえって、喚きつづけているのだ。

私はあきれて寝てしまったが、ピカ一はそれから三時間もわめきつづけたということで、翌朝誰かが目ざめたころは、ピカ一は疲れて、あやかさんの扉の外に大の字にねむりこけていたという。

あやかさんは無事だった。ピカ一も翌日はすっかり静かに落ちついたが、然し、はからざるところに殺人が行われていた。

セムシ詩人がその寝室に殺されており、又、我々が手わけして千草さんを探してみると、千草さんは三輪山の森の中で殺されていたのである。