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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
むろんこれは冗談だ。あいつはそういう人の悪いイタズラをしたがる奴なんだ。人の一番いやがることをね。あいつときたら、あいつはお梶お母さんのたった一人の実子のくせに母親が死んだって悲しむどころか、全く涙ひとつ、こぼしやしないんだからな。叱る人がいなくなって、これで大ッピラに大いに遊べるとハリキッたような始末なのだ。然し、あいつにしたって、こと、いやしくも殺人犯だから、そうバカな冗談も言わないので、実は当時、別に犯人は誰それだというまことしやかな風聞があった。君達も知っている諸井という看護婦、あれのことだ。変に色ッポイ女だからな。たしかに父と関係はあった。君がお京さんとああなって後は別して相当の交情があったことも事実だろう。それで母を殺して後釜を狙ったという、これは如何にも村の噂に手頃の新派悲劇的人間関係じゃないか。農村の噂なんて、みんなこれぐらい月並なものさ。こんな噂があるから、妹の奴、安心してあんなひどい冗談を言いやがった。むろん誰もゾッとなんかしやしない。凄味なんか、ないからね。ゲタゲタみんな笑いだした。然し、僕自身は、やっぱり寝ざめは悪い」
諸井琴路という看護婦は今はたぶん、ちょうど三十前後だろう。