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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
老人は目をとじて、しばらく答えなかったが、
「警部さん。それは私にも分りませぬ。思えば私の軽率が、当家に御迷惑をおかけしておるのかも知れませんのじゃ。あの人の首をくくった物置は今はとりこわして有りませんが、首のうしろに一つ結んで、物置の梁にぶらさがったのが、シゴキが切れて、下へ落ちて、ことぎれていた。このシゴキがお梶様の持ち物だったのと、その場に残された死人の履物が、お梶様のものと本人のものと片々ずつになっておった。それを見て、私がとッさにハッとして、お梶様の下駄を隠し、首の紐も解いて隠して別の縄にスリかえた。山奥の駐在の当時のことで、縄をといて人口呼吸をしたと云って、難なく言いのがれて自殺ということで通りましたが、秘密は必ずもれるもので、そんな噂が今もって残っているのも、元はといえば私の軽率、まったくのところ、九分九厘まで自殺であろうということを、私はズッと信じていますのじゃ。お梶様は気性の強い、ヒステリー症の御方であったが、何がさて、痩せて、非力で、人をしめ殺す腕力などのないことは、冷静に考えてみれば誰にも察しのつくことだが、とッさのことで、私は一途に思いこんで、慌てましたのです。