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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

カングリ警部が要領よく、とりなして、

「すると三宅さんは、その日、奥さんがどんな予定をたてていらしたか、そんなことも御存知ないのですね」

「全然知るところがありません」

「三宅さんはN町にお友達でもおありなのですか」

「いいえ、ただ退屈に倦んだから、当もなく出掛けただけで、本屋をひやかすとか、そうそう、買物といえば、雑誌を買ってきましたが、そんなところで僕の顔でも覚えていてくれなければ、全然アリバイはありませんね」

「それにしては、一番バスとは早々の御出発ではありませんか。御当家の皆さん、N町行きは一番バスというような習慣でもあるわけですか」

答える者がないので、木曾乃夫人が、

「昨日は私もN町へ参りましたが、二番で参りました。私ども、女は、支度や何か、それに歩く足も殿方にくらべて遅うございますから、概して二番で参るようでございます。昨日は京子様と御一緒に参りまして、停留場で看護婦の諸井さんとも御一緒になりました。私どもはN町の大正通りで降りて、京子様に別れ、私は買物を致したりして、又、偶然終発で、京子様と御一緒になり、又、三宅様とも御一緒になりましたのです」