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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
と、私がきいたが、
「イヤ、それはまだ、調べて見なければ、分りません」
と、カングリ警部は帰って行った。
神山東洋はようやく椅子に腰を下して、
「イヤ、どうも、驚きましたな。食堂へはいってくると、ヤイ、偽善者、汝、三宅木ベエときたから、これには私も全く面くらいましたぜ。私はしかし、昨日から今日一ぱい、その、偽善者、三宅木ベエの件でN町を調べて歩きましてね。実は諸井琴路看護婦の白状はいささか、間違っているのですよ。八月三日に諸井看護婦が密会したのは、隣村のヤミ成金の百姓オヤジで、三宅先生と、海老塚医師は、各々の旅館に今か今かと諸井嬢を待ちかねつつ、ついにフラれた悲劇の当人にほかなりませんや。焼火箸の大拷問の今はの際にも、嘘をついて、三宅先生の名をだすとは、諸井嬢も驚くべき冷静知的なシレ者ですな。たしかに、これも、大犯罪者の素質をそなえた一人ですな」
木ベエは一言も語らなかった。なるほど、然し、いつからか、彼が意外な憎悪を海老塚に示すようになったのも、諸井看護婦と、こうなっていたと分ってみれば、うなずけることであった。彼も亦、女々しく、嫉妬深く、邪推深い変質的な一人であった。