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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

人をバカにするな」

あやかさんは美しい目に怒りをこめてピカ一を睨みつけていた。

カングリ警部は、とりなすように、うなずいて、

「いや、奥様の仰言る通りでしょう。その鈴は、たしかに、奥様があの部屋へ落してこられたものではありません。なぜなら、寝台の下は、望月さんの洋服の上衣でキレイにふいてあるのですよ。そして、その上に、鈴だけが一つ、落されていたのです」

今度は神山東洋がうなった。

「そいつは、奇妙な謎ですな。すると、犯人は、故意に、あやか夫人の鈴を置きのこして行ったわけですか」

「そうですなア。鈴も鈴ですが、なんのために寝台の下をふいたものやら、いかがですか、皆さんの神通力は」

誰も答える者がない。カングリ警部は根気よく待ったが、返事がないので、

「それでは、もう一つ、これは神通力ではありません。皆様の助言が欲しいのですが、ちょッと、失礼な問題ですが、場合が場合ですから、これを最もマジメな意味で、御協力を願いたいのです。実は、皆さん御承知の通り、この事件には再々アイビキが現れて、まるで、それが特徴のようですが、宇津木秋子さんが三輪山へ行かれたのも、アイビキのためではないかと推察される根拠があります。