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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

然しバスに乗りこむと、私は呆れ返って、ウンザリした。厭な奴、思いがけない奴にばかり出ッくわす。土居光一が乗っている。ヤア。彼は当り前というように、頭をガクンと挨拶したが、前へ下げずに、後へ上げるのだから、人をバカにした奴だ。

「ヤア、君はどこへ行くのだい」

「どこへ行くって、こんな安達ヶ原に毛のはえたようなところへ来て、どこへ行きようもないじゃないか。歌川一馬のうちへ行くにきまっているさ。君はそうじゃないのか」

こいつが然し、何の用で行くのだろう。

「君は何か用があるのか」

「バカにするな。あんなヘッポコ詩人に何の用があるものか。ミウケの金はちゃんと貰ってしまったから、とっくに飲みほしてしまったけれども、後をネダルほど零落はしないよ。奴がぜひとも御光来、一夏をお過し下され、酒も料理もあるというから、変なことを言ってくる呆れたオッチョコチョイだと思ったが、酒があるなら、つきあってもよろしかろうじゃないか」

彼は京子を見て、フンと笑って、

「あなたがお京さんか。なるほど美人だ。色ッぽいな。淑徳厚く、又、浮気心も深しか。いい色気だなア。残念だ。二足三足おくれたわい。