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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
オレが戦争中この村へ疎開してりゃ、お京さんはオレが抱いてあげたんだがな。然しお揃いで堂々と歌川家へ乗りこむなんざア、矢代文士も御心臓じゃないか。君の小説は子供ッぽくて読めないがな」
いったい一馬は何を考え、何を企んでいるのだろうか。私は彼の手紙からは主としてナンセンスを感じただけだが、今や私もひどく不安になってきた。何かが起る。少くとも、何かが企まれていることは、もはや確実と見てよかった。
バスを降りると若い下男が荷物を運びに待っていた。まだここから一里近く山の小径を上ったり下ったり、疲れた時にはやりきれない道中である。
ようやく歌川家の近く、鎮守様の下へさしかかったとき、木蔭から二人の女が私たちの方へ歩いてきた。あやかさんと宇津木秋子であった。私たちを迎えに来た様子であった。
然し、あやか夫人は私たちに近づくと棒のように直立してしまった。何がなんだか、わけが分らないという顔で、自分の目を疑るような風であったが、それを見ると土居光一の方が先に声をかけた。
「よう、大富豪令夫人。御出迎え、御苦労。どれ、お駄賃に、オレが久々に可愛がってあげるかな」
彼はツカツカとあやかさんの方へ歩いて行った。