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ふれんぞくさつじんじけん
不連続殺人事件
「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页
巨勢博士は言葉をきった。然し、思い入れよろしくに自らテレたものか、すぐさま言葉をつづけた。
「私も演技の妙にだまされて、その日は、その不自然に気付くことができませんでした。その翌朝、内海さんの惨殺が発見されたとき私がようやくそれに疑念をもつことができましたのは、それから一週間の後、歌川多門先生と加代子さんが毒殺せられた当夜のことでありました。皆さんも、あの日のことはなお御記憶に明かなことと思いますが、さっそく平野警部の訊問があった折に、あやか夫人は土居画伯を指して犯人とよび、指の魔術師とよびました。すると、土居画伯は平然として、かたわらの碁石をつまみ上げ、黒白夢幻の恋の巻、ハイ、東西東西、悠々と指の魔術を御披露あそばされたものです。のみならず、それが終って、尚言い争い、土居画伯が、自分もいつ毒殺されるか分らない、こんな家にいたくない、と申されますと、お前が犯人じゃないか、お前のほかに誰が毒をもるものですか、あやか夫人がそう叫ばれた。私がハテナと思ったのは、その時でありました。何か勝手が違う、そこが私の気にかかった、すると、私は気づいたのです。そうだ、内海殺しの夜は、なんでもないツマラヌことがキッカケで、あの物凄い格闘となった。