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ふれんぞくさつじんじけん

不連続殺人事件

坂口 安吾

「日本小説 第一巻第三号~第二巻第七号」1947(昭和22)年8月1日~1948(昭和23)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,047 字 · 322 页

青空文庫

論理的に推定したものではない。だから細部の解釈もランミャクをきわめ、犯人の名が当ったという以外に取柄のあるものではなかった。

私は思うに、巨勢博士の推理と全く同じように一々の細部にピタリと推理された方が四人もあったということは、私がむしろ誇ってよいことではないかと思う。つまり、ピタリと当るように出来ているのだ。探偵小説の従来の公式などは問題じゃない。探偵小説は合理的でなければならぬ。

人間性を不当に不合理に歪めて、有りうべからざる行動を実在させそれを、合理的に解けと云ったって無理である。私は日本のみならず、全世界の探偵小説の九十九パーセント、否、九十九、九九パーセントぐらいが不合理なものだと思っている。

犯人の間違った答案の多くは、消却法を用いられているが、なるほど探偵小説は、現実の犯罪と違って、登場人物が三十人なら、その三十人の中に必ず犯人がいるのであるから、消却法というものが、一応最も便利で、有効に思われる。ところが、消却法による限り、必ず犯人は当らない。

いわば探偵小説のトリックとは、消却法を相手にして、それによる限り必ず失敗するようにつくられたものである。